『国宝』には付録がいっぱい

『国宝』の上映がさすがに終わりそう、という話。
「まだやってんのか!?」
映画館の上映情報を見ると、たまに口からこぼれるこの言葉。コナン、鬼滅、スラムダンクあたりがそうでしたね。邦画実写でこの言葉が出るのは、インディーズの作品が様々な映画館を転々としている時しかない。洋画だと『トップガン マーヴェリック』とかずっとやってたけど。
そして邦画実写にこの言葉をいう日がきた。『国宝』だ。
公開は2025年6月1週目(6日金)。そこから46週間後の記事執筆現在、2026年4月4週目からの上映情報が確認できるが、一日に一回の劇場が多いが、それでも「まだそこら中でやってる」と言っていい規模。
これだけのロングランをして、邦画実写市場興行収入No. 1の座を『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』から引きずり降ろせたのは、ひとえに「こりゃ劇場で見る価値がある」という口コミが広がったからだろう。
かくいう筆者も友人にそれを言われて、劇場に。そしてまんまと「こりゃ確かに劇場で観る価値がある!」と思ったわけです。
当時は「三時間の映画がスクリーン占拠なんて劇場側は嫌だろうからすぐ行かなきゃ終わっちゃう」なんて思ってたんですけどね。
でも! でも! さすがにそろそろ終わるので! その前に観に行ってくださいなという話をしたいです。
そういう話をしたいと宣言しておきながら、話が変わります(笑)
私は付録が多いと無駄にテンションが上がってしまう。
児童誌がわかりやすい。「4月号のゴロゴロコミックは10大ふろく!特大ポスター!限定トレーディングカード!キャラクターすごろく!キラキラシール!応募者全員サービスで限定OVAが手に入る!他にも盛りだくさん!」ってコマーシャルにクラクラするほど興奮したものです。
他にも、コンビニで『おにぎりを買うと、レシートに数日後から使える無料引換券が!』とか言われると、しっぽ振っちゃう。たいていは期限切れにさせちゃうけど(笑)
これは映画もそう。付録が多いと、「いい映画」であると思ってしまうタチなのです。
では映画における付録とはなんでしょう。
例えば「映像が綺麗」、「あの役者さんが出ている」、「あの役者さんが歴代出演作の中でもベストバウトを叩き出している」、「ポップミュージシャンがサントラを担当」、「ミュージカルシーンが豪華」、「アクションシーンが豪華」、「俳優さんがアクションやダンスをボディダブル(替え玉・スタント)なしで演じている」、「作中作が面白い」、「トリビアや知識が手に入る」などなど。
作中作はわかりやすい。お笑いをテーマにした作品内の漫才がちゃんと面白いとか。
サントラに至っては、劇伴音楽家がやった方が良いのよ。餅は餅屋。でもミュージシャンがやってるとテンション上がっちゃう。
『国宝』は、こんな付録が盛りだくさんなんです。そして、その付録の中でも「家で観ると目減りしちゃう付録」が多いから、ぜひ劇場に行ってほしいんです。
それではその付録を一挙に紹介!
まずは「家で観ると目減りしちゃう付録」とその理由を併せてどうぞ!
・約三時間の大作!
→映画は二時間までよ!二時間を一秒でも過ぎると、そこから減点が始まります!
ですがあら不思議、三時間に近づくと「重厚なドラマ」というラベリングがなされて、加点になる!
目減り理由:家で観るとさすがにダレるので、強制的にスクリーンに向かわされる劇場という環境が良い!
・美麗な撮影と美術!
→日本が生んだ稀代の天才美術監督・種田陽平の作り出す、スクリーンに引き込まれるような圧巻の美術。歌舞伎という豪華絢爛な世界をきちんと誠実に作り上げている。そしてそれを超グラフィカルに、どのカットを切り取ってもポストカードになるような美しさで撮影したのは、ソフィアン・エル・ファニ。本当に観ているだけでうっとりできます。
目減り理由:要するに歌舞伎を観に行く疑似体験ができるわけですから、そりゃあ歌舞伎座の舞台と同じようなサイズ感で観て、その世界に入り込んだ方が良い。
・歌舞伎鑑賞の疑似体験
→上の目減り理由でも触れましたが、本作は歌舞伎鑑賞の疑似体験映画です。作中では五本の歌舞伎の演目がダイジェスト的に鑑賞できます。歌舞伎ってなに? ってレベルの人が「うわー、なんか歌舞伎ってすげぇんだなぁ!」と圧倒させるような演出になっています。実際に歌舞伎の客足が上向いているらしいね!
目減り理由:疑似体験なんだからデカいスクリーンで観なさいよ! デカいスクリーンですら疑似なんだからよ!
この辺りが「劇場で観ないと目減りしちゃう付録」ですね。ですが『国宝』にはまだまだ付録がついてます!おっトクぅ~! じゃんじゃん紹介していきましょう!
・一人の男の半世紀にわたる一代記
→最初の「三時間に近づくと重厚なドラマというラベリングがなされる」と同じですね! この「半世紀にわたる一代記」っていうと、もうそれだけで「いいもん観たわぁ……」とうっとりできるんですよ!笑
・歌舞伎といういびつな世界のトリビア満載
→本作はある業界の舞台裏を描く、いわゆる「バックステージもの」と呼ばれる作品です。「歌舞伎って世襲なんでしょ?」「男尊女卑っぽい」「稽古厳しそう」みたいな、ドロドロを含めて覗き見できます。この「うわー!こんな風になってるんだー!」というワクワクは、みなさん他の作品でも感じたことはあるんじゃないでしょうか?
・ボディダブルなし!体当たりの歌舞伎演技!
→吉澤亮、横浜流星、渡辺謙。すごい。ちゃんと”歌舞伎”やってる。……と、言っても私は歌舞伎を観たことがないのですが、それでも「おぉ!歌舞伎観ているみたい!」と思えるくらいに、ちゃんとやってみせてるんだから凄いわなぁ
・渡辺謙のベストバウトが観れる
→ ……いや、私は渡辺謙の仕事を熱心に追っているわけじゃないんで、こんなこと言ったら怒られるかもしれないですが(笑)
でもなんかスゴいッスよ。普段から「演技とかよくわかんないけどすげぇ!」と説得されてしまう渡辺謙が、さらにその数段上を行く恐ろしさと滑稽さを見せてくれます。
・そしてその渡辺謙を凌駕する、ある怪物役者
→詳しくは伏す。が、ある怪物役者が、普段より怪物っぷりを発揮してる!
……とはいえ、「またこの役者が、この役者の存在感だけで話をねじ伏せにきてるわ」とも思うんだけど。毎回こういう役だよね(笑)
そんな風に『国宝』には付録が満載されているんです。
もちろん、付録がたくさんついてても本編が面白くなくてダメです。最近、「エロ雑誌の進化と衰退の歴史」みたいな本を読んだんですが、「エロ雑誌はDVDが付録になり始めてから、紙面がただのAV紹介誌に成り下がってしまい衰退した」って書いてあって感心しました。やはり本編が立派であってこそ。
心配しないでください。お話も面白いです!
ヤクザの組長の息子が、父の死をきっかけに歌舞伎の世界に飛び込み、才能を開花させながらも血筋が重要とされるその世界でもがく話。稽古にささげた青春、それを共に支え合った盟友には、主人公がどれだけ欲しがっても手に入らない血統というパスポートが用意されている。血か、才能か。日本の伝統芸能の裏で渦巻く、愛憎入り混じる濃密な人間ドラマが観れます。
ほら、ここでもう一度、「劇場だと目減りしちゃう付録」を読み返してごらんよ!?
まだやってる! けどもう終わる! なら行かなきゃもったいないでしょ!
ちなみに冒頭に例に挙げた『トップガン マーヴェリック』だって「大音響・大スクリーンでド迫力ぅ!」っていう付録のおかげでロングランしていたわけだしね。配信始まってるのに劇場にかかってたんだぜ?
さぁ! 迷わず劇場へ!

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